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ある日の大阪地裁第6民事部

大阪地裁第6民事部といえば…

通称破産部と言われる部署です。

ここでは、破産と民事再生、会社更生などが行われます。

この部署がある第2別館という建物は、元々大阪弁護士会があった建物です。

今は、幅広~い、それでいて奥行きが何故かヒジョーに浅~い大阪弁護士会の新館が新たに建てられた為、旧会館は、そのまま裁判所の建物になりました。

大阪弁護士会館

※総工費何と50億!!(※一説には65億円とも)この新館のお陰で、当初聞いた話では、登録弁護士一人当たり数百万もの借金をする計算になる、という試算を聞いたことがあった。現実、今の会費は、年額で約50万円(※連合会費込み)。この年額50万円は、他の会と比べて異常に高い訳ではない。しかし、その他、大阪会を通すと、あらゆる名目でびっくりするくらい手数料が引かれるという。実際、大阪会での廃業理由の第一位は、「会費が払えなくなったから」だそうな。ところで、連合会というのは、弁護士会だろうが司法書士会だろうが、言い方は悪いが、ヤ○さんの上納金制度にとても似ている(笑)。つまり、各都道府県にある会が、会員から自分の会費と連合会費を徴収し、連合会に収める形になっている(分けて徴収というところもあるようだが、多くはごっちゃにして一括して『上納』している)。参考にした…訳ではないだろうが(笑)。今、大阪司法書士会の方でも、現在の会館建設・維持費徴収について裁判になっている。どうやら大阪会の方が負けたらしい。確定はしていないが。裁判を起こした人が、どうも司法書士を辞めて弁護士になり、最初にやった「仕事」が、「いらん会費を返せ!」という裁判だったらしい。会館の使用料と考えれば、それほどの金額でもないのだが…散々仕事をしてきた資格の登録会に、後ろ足で砂なんかかけない方が賢いようにも思える。

…ううむ。脱線してしまった。
会費問題は、どこもかしこも切実な問題になっているので…


とにかく。
この旧弁護士会館である第2別館は、正に、大阪倒産事件の本拠となっている訳です。

で、です。
第2別館の5階が破産担当で、6階が民事再生・会社更生担当となっています。

※ちなみに、予納などは2階で行う。銀行の窓口のようになっている。但し!12時から1時まで、しっかり扉を閉めて締め出し、優雅に昼食なんぞ食いやがるので、注意が必要。ワタクシも、これにギリギリ引っかかって午後に収めに行った事がある(怒)。腹が立って事務所に戻り、昼飯を食べ終わった頃に、書記官から「どうしました?領収書の提出が遅れていますが?」と電話で言われたので、「2階の昼飯で締め出されましたけど、何か?」と言ったら、何故か爆笑していらした。笑うところなのか?(汗)

裁判所 庁舎平面図(第2別館)


さてさて。
先日、個人の自己破産(勿論、『同時廃止』)を申し立てに行った時の事。

もうね、いっっっっっっっっっっっぱい待たされている訳ですよ。ハイ。

というのも、提出日は、7月14日の11時

…大阪の業界にいる人なら、大体分かると思いますが、大阪地裁への破産の申し立てというのは、色々理由があって、15日と30日(31日)が最も混雑する日なんですよね。

だから、この5階の扉には、わざわざ「おいテメエら!15日と末日(月後半の5飛び)の申し立ては『なるべく』やめんかいっ!」と丁寧な言葉で書いてある紙が貼ってある『筈』なんですが、扉は開けっ放しで、その紙が見えないので、いつも「意味ないなあ」と思って見ております(笑)。


で、です。
大阪地裁本庁の同時廃止は、現在、即日書面審理・即日方針発表という原則になっています。

つまり、提出したら、書記官の書面チェックが終了して『お言葉』を賜るまで待たなければならない訳です。

尚且つ、申し立ては午前中のみと決められているのですから、昼前の混雑は日常の数倍になります。


で、です。
ワタクシの場合、「追って『お電話で』お知らせ致します」と言われて帰る事が多い。

去年の秋など、朝一番に出しに行ったのに、「いや~、実に『丁寧に』陳述書を書かれているので、チェックに時間がかかりそうなんですよ」と言われて帰った事もあったのです。

その後、3日たって、やっと「○○と陳述書にありましたが、それが後日どうなったのかについて報告して下さい」と知らせが来て、報告書を出したら即日同時廃止決定が出ました。
…まあ、ほとんど要らないんじゃないの?と思えるほど分厚い申立書一式になっていることが原因のような気もしますが、それだけではありません。

原因は、それこそ裁判所にあるんです。

※事実、大阪地裁堺支部に提出に行ったら、「…これ、2件分ですか?」とうんざりされたことがある(勿論1件分)。


最初の頃、裁判所に破産申し立てを行うと、それはそれは事細かな激しいツッコミをされ、訂正や余分に書類を提出したりして、かなりの手間をかけることを経験しました。

場合によっては、人格を否定されるかのような言い方をする人も多くいます。

で、そんなツッコミを何度も受けていると、ただ腹が立つだけではなく、裁判所(第6民事部の書記官)が何を注意して見ているのか?が分かって来ますから、二度とあんな指摘を受けたくないので、最初から事細かにチェックして、その説明になるものなら何でも添付し、陳述書の中に書き込んで置く訳です。

大阪方式の書面には、チェックリストというものがあります。その中にも、裁判所が最低見て欲しいと考えている視点が書かれているので、それを上回るよう、先回りするよう、必要だと思ったら、何でも丁寧に書面を付けて陳述する癖がついてしまった…という訳です。

しかし、これは、依頼人にとっては不審を持たれる事が多いです。

「何でそんなものまで?」と言われます。

しかし、大抵、その書面や証拠まで提出すると、裁判所で「ここの説明があったし、証拠があったので、もういいです」と言われることが殆ど。後で話すと、納得してくれます。


で。
先日の場合。

その日の夕方。

目出度く同時廃止決定となりました。

ワタクシとしては、ツッコミどころが見えていますし、修正が当たり前という感覚がありますから、「○○の点はいいですか?他に修正箇所や提出するものはありませんか?」と聞いたところ、その書記官はおっしゃいました。

「いえ、ちゃんと陳述書にも指摘がありましたし、証拠もありましたから。いえいえ、厳格にやっちゃうと管財ですけど、このケースで管財なんてもうねぇ…ぜひ、同時廃止でさせて下さい!

…あれ?
同時廃止を希望して申し立てたのはワタクシたちの方ですけど、『させて下さい』って??(笑)


※2階で締め出されたのは、昨年末に出した時。この時、午後に書記官にお電話を頂いたら、「これ、予納を済ませて頂いたら、同時廃止でいけそうです」というご回答だったので、予納を済ませ、ワタクシとしては、正式な発表を待っていたけれど、全く無し!一ヶ月経って、「何で決定書を取りに来て頂けないんですか?同時廃止でいけるって言いましたよね?」とお電話が(汗)。「いえ、『いけそう』というお話で終わっていたので、正式なご回答をお待ちしておりましたけど??」と言ったら、書記官は相当慌て、そして笑い出した…まあ、自分の発言をちゃんと思い出して正直に「そういえばそうでしたねぇ」と言っていたから、笑って誤魔化すしかなかっただろう(笑)。あの時は、陳述書に書いていた事情に合わせて、何でも付けて提出し、指摘を一つも受けなかった珍しいケースだった。「実に丁寧な陳述書」と言われたのは、60代の方の自己破産をやった時のこと。とにかく、ほぼ30年分もの間の借金の事情を陳述書で丁寧に書いたら、通常の3倍以上の長さになったしまった(汗)。案の定、完全に調べるのに3日以上かかったが、全部調べた上で、ちゃんと財産に関わる一点をついてきた。報告書で「ウン十年も昔だからもう分からん!」って書いたらそれで通ったっけ(笑)。実際、「もう分からん」かったのだから。

※大阪地裁で一番五月蝿いなあ…と思ったのは、何と言っても銀行通帳。とにかく、給与以外で50万円以上の出入りがあったら、片っ端から指摘され、全ての箇所の理由を明らかにするよう要求される。こういうケースの場合、正直に言わないと管財にするぞ!と半ば脅される。他人の生命保険の証書まで出させられたことがあったなあ。だから、ワタクシは、このような記載があったら、どれだけ嵩張ろうが、残っている証拠(のコピー)を全て付けて、「○○銀行の○○番の通帳の何行目のもの」と書き、事情をなるべく詳細に書いた上で出す事にしている。こういうことをしていると、ワタクシの申立書は、かなりの分厚さになってしまう訳。

※大阪地裁堺支部に自己破産を申し立てた時、半月経っても何も言って来なかった事があった。電話して見ると、何と!「まだ読んでません」と言われてしまった…実は、大阪地裁堺支部は、日本一の繁忙庁と言われている。事件数がべら棒に多いのに、裁判官を含めた全ての人員が足りないのだ。そんな中、大阪地裁堺支部は、今年1月、新しい庁舎に移った。まあ同じ敷地内にある訳だが、今度はかなり大きなビルになっている。ただでさえ異常に忙しい支部が引越しすれば、業務が止まってしまうのは当たり前というもの。それなのに、そんな忙しい裁判所の移転した直後に、ワタクシは申し立てたのであった(汗)。しかし、その後、事細かな指摘に対する回答と本人直筆の反省文を要求された。読むところはちゃんと読みこなしていたのだから、やっぱり有能だわ、堺支部の書記官は。本人の反省文は、おそらく、日本一の繁忙庁の裁判官が口頭審尋をするヒマが無いから、相当の事でもない限り、こうやって済ませているのではないかなあ、と思った。本庁だったら、このような場合、間違いなく口頭審尋で油を絞られただろう。

※とにかく、書記官は、資料の読み込む力が高いので、手続きを穏便に済ませたければ、誤魔化すより徹底して正直に答えることが重要だとつくづく思う。それが、解決への最短の道だと感じるから。



ただ、気になるのは、自己破産と個人再生の相談が激増している事。

世の中、大変になっている。
特に、6月危機と言われる、ボーナス激減で家のローンが…というのは、本当に多く相談がありました。

これからは、頭金を必死に貯めてから、ボーナスに関係ない支払いをするローンが大切だと、つくづく思いました。


…しかし、その一方。

やっぱり、お一人で2000万円に迫る過払い金(1社だけで1000万円も)なんてケースも来ているので、金融の世界って、これからどうなっていくんだろう…と考えてしまう今日この頃です。

by uneyama_shachyuu | 2009-07-23 22:19 | 司法書士編。