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就職活動??

この時期になりますとよくあるのが、司法書士事務所に、

「補助者、募集していませんか?」

といきなり問い合わせてくる人が大勢出ること。

まず、結論から書いておきますよ。

求人募集を雑誌その他のメディアに出している事務所以外、まず募集していません。

ですので、いきなり「雇ってくれ」は逆効果です。


このような挙に出るのは、予備校が悪いんですよね。

予備校で就職活動のことに話題が及ぶと、必ず、

「司法書士事務所に片っ端から電話や履歴書を送ったら、『アンタ、オモロイな~。雇ったるわ~』といわれて就職できた」

…などという半ば都市伝説と化したデマを流す人がいるからです。

ハッキリ言いますと。
このご時世、少なくとも大阪などで募集している事務所は、殆どが債務整理専門で人手が足りない事務所か、そうでなければ、昔ながらの業務をやっている事務所に、とんでもない競争率の募集になっているところか、そのどちらかと言って良いほど、就職率は言語に絶する低さなのです。


その上。
これまたハッキリ申し上げますが、百歩譲って就職活動をするなら、相手の立場に立って物事を考えることをして下さい。

この手の申し込みをしてくる人達には、ある一点に共通項があります。

それは、自分のことしか考えていない、または自分の立場から自分の要望ばかりダーッと話したり書いたりすること。

どういうことかというと、電話、メールや履歴書を頼みもしないのに勝手に送りつけて来るのは、まあ置いておくとして、その内容が、自分の立場や視点から、または自分の要望ばかりに偏りすぎているのです。

具体的に例を挙げて言いますと。

採用ご担当者様はじめまして。突然このようなお問い合わせをして申し訳ございません。私は、○○と申します。突然ではございますが、貴所では司法書士事務補助者の募集はされておられないでしょうか?自分勝手なお願いですが、一度ご検討いただけないでしょうか?(中略※内容的には絵空事に近い理想を勝手に語る。)そんな理想を描いています。自らの描いた目標の実現に向け、現在は司法書士の資格取得を目指し受験専門学校に通学しております。そのために、司法書士事務所での勤務を希望し、就職活動を行っています。現在、司法書士の勉強中ではありますが、学んだ知識、これから学ぶ知識を実際の現場で磨いていきたいと思っています。受験専門学校に入学し、授業で学び、セミナーで司法書士の先生方に実務の話を聞くにつれ、司法書士の仕事は、幅広く、奥深く、非常にやりがいのある仕事だと感じ、自分は一生この仕事でやっていく決意をしました。近い将来、必ず合格し司法書士になる。そんな強い想いを持ち、励んでいます仕事であるからには、厳しいこともたくさん経験しなくてはいけないと覚悟しています。それでも、学校で司法書士試験合格を目指し、貴所で司法書士の実務補助から勉強させていただければと考え、勝手なお願いではありますが、ご連絡させていただきました。なにぶん、突然のメールではございますが、なにとぞよろしくご検討のほどをお願いいたします。

…次。

採用ご担当者様はじめまして。突然このようなお問い合わせをして申し訳ございません。私は、○○と申します。突然のお願いで大変恐縮ですが、一年間、事務所で私を鍛えてはいただけないでしょうか?(中略※単純に言うと、ジジイの書いた本を見て、こういう人だと思った、こういう実務をベンキョーしたいと勝手な虚像と希望を述べまくる。)私は、経営していた企業を廃業し、司法書士資格は取得いたしました。しかし、実務は『全くできません』。そこで、先生を見込んでお願い致します。給料は『贅沢は申しません』。期間が長いとおっしゃるのであれば、半年、いえ3ヶ月でも結構です。勝手なお願いではありますが、お願い申し上げます。ちなみに、『登記簿は見たことがあります』し、○○はやっているのを『みたことがあります』。あとは何もできませんが、『素人の中でもマシな部類』に入ると思います。

…やれやれ。
これがズラズラズラズラ~ッと送られてきたり、電話で疲れた声で繰り返されたりすると、事務所にとってどのような感情を持たれるのか、想像できないのでしょうか。

第一、この人達は、就職活動をしたことがないように思えます。



まず、大きな幻想を抱いていますね。

ほぼ全員の彼らは、法律関係の職は、弱い人を助けるためにあるところで、自分たちも助けてもらえるという幻想を抱いているんですね。

しかし、事務所は経営で成り立っているので、ボランティアではありません。受けられない事件、受けられない申し入れ、当たり前にあります。

ですから、事務所は、立派な事業体であることをしっかり認識しないといけません。


ここまで書けば、答えは分かってきますね。

もし、就職を申し込みたいのであれば、その事業体にどのように貢献できるか?をアピールしなければなりません。

このブログを発見した方々も、おそらくこのような検索で入ってきているでしょう。

どうですか?ご自分で書いたものと変わらないのではありませんか?

では、逆の立場で、雇う側の立場から見たらどうでしょう?

もはや、腹立たしい限りです。

「実務を教えろ!仕事はできん!贅沢は言わんでやるから給料はくれ!勝手な申し入れやけど、聞いてくれ!」

送られてくるレターの内容的は、ほぼ全て、このようなものに集約できます。

どうですか?
企業だったら、新卒以外の中途採用で、誰が雇いますか?

具体的に、「事務を○○社でして参りました。ワード、エクセル、一から全て作成できます。」とか、「○○事務所で△△ソフトを使っての実務をしておりました。違いがあっても作成できます。」とか書いてくる、事務員希望の方を、ワタクシたちとしては、ずっと雇いたいと思うものです。

それに比較して、どうですか?

「給料とノウハウ泥棒してやるから雇え!」と公言するとは何事ですか??


このような視点で物事を見て考える人は、独立して何かをできることはありません。

企業と付き合えることもありえません。

何しろ、経営者の考え方、欲しいものが全く分からないのですから。


ふう~。



…ただ。
先輩の先生曰く、

「例え入って来たとしても、多分、畝山の考え方についていけず、カルチャー・ショックが大き過ぎて、ショックのあまり辞めるでしょう」

…否定できませんね(笑)。

by uneyama_shachyuu | 2010-05-30 21:14 | 司法書士編。