甘くはないぜ!個人再生
…最近、このブログでは、実務的な事、それも、どちらかというと愚痴に近いものばかり書いているような気がする…
とまあ、いきなりマイナスな事から始まりましたが、今回もそういう話題なんですわ(汗)。
はっきり言って愚痴です。
というより、お気楽な方々へ警告したいんです。
最近…というよりここ2年、個人再生が破綻しつつある人にまつわる情報や依頼というのが来るんですよね。
一番多いのが、
再生計画が開始してから数回で滞納している状態
になってから、「センセイのところで何とかして下さい!依頼していたセンセイからは見放されまして;;」という切羽詰った電話を頂く事です。
その上、「聞いて下さいよ~!あのセンセイったら、最初から説明が少なくて、私達に無断で『給与所得者個人再生』なんて使ってしまって、借金があまり減らなかったんですよ~??おかしいですよね?ですからお宅で…」などと言う訳です。
…文字通り、説明していないとしたら相当なセンセイですが、大体の場合、説明を聞いても分からなかったというケースではないかな?と個人的には思います。センセイの説明が足りないというか、相手に分かり易く説明していないのかもしれません。うちではそれはありませんよ?当事務所では、丁寧に説明させていただいております。
でも、全体として、どうも個人再生というものをなめている人が多いのには驚く事が多々あります。
制度をネットで見て、
家も無くならない!借金5分の1!サイコー!
…などと気軽に言う人が少なくありません。
あのですね。
世の中の弁護士・司法書士の先生たちが、個人再生を使う場合、センセイも依頼人も、悪意があるわけではなくて、無意識の罠に陥る事があるんです。
これは、個人再生は、相当ギリギリの生活になるとしても、借金返済に充てられるお金があると数字上計算できれば、キツキツでも通ってしまうという事なんです。
銀行でも言われましたよ。
ビックリするようなギリギリの計画を通す裁判所とセンセイたちの事を。
だからこそです。
うちでは、この人の借金の状況や原因、生活態度では無理と判断しますと、自己破産をお勧めしています。
で現状、ワタクシが相談を受けた人たちは、8割以上は自己破産になっています。
そもそもお金が余らないなんて論外な人(これが実に多いんですが、『お金はありません。でも、個人再生でお願いします』などという態度の方々が大変多いのです)も沢山いらっしゃいますが、そうでなくともギリギリという場合は、どちらに転んでもまず間違いなくすぐに破綻するからです。
個人再生の利点は、①住宅ローンを切り離して借金を整理できる②仕事上破産では資格を失う事を避けられるという2点に集約できます。
住宅ローン以外の借金は、基本的に5分の1、1500万円から3000万円は300万、3000万円から5000万円は10分の1になります。それ以外は、免責されるという事なんですね。これを原則3年(特別な理由があれば5年)で返済することになります。
しかし、まず一つは、守るべき住宅ローンがそもそも破綻の原因または遠因になっている事が、大変多いんです。
これは、家のローンの組み方に問題があるパターンですが、もっと厳しいことを言えば、自分に厳しく考えられなかった事のツケだと思います。
このような方々の場合、ご自分の生活状況やお仕事、特に収入面を考えれば、冷静になれば、どこかで生活が破綻してもおかしくないだろう?と思いたくなるようなローンになっているんですね。
次に二つ目には、借金漬けで、ご自分の収入なのか、借金でお金があるように勘違いしているのか、ご自分ではもう分からなくなっているというケースが大半だからです。
住宅ローンの組み方でも分かるんですけれど、それが実にご自分に甘いものだと、借金の出来方もほとんど同じになってしまっています。
このような相談ケースでは、冷静にさせるために、借金の支払いを抜いた状態の家計収支表を作って頂いています。
そうすると、ご自分の収入と支出から差し引いた余りが、いかに個人再生に程遠いか、はっきりするんですよね。
この時になって、ご自分のお金への甘さを痛感する人も多くおられまして、そういう方は、その後の生活は持ち直しています。家計簿を丁寧に付ける癖がついた、なんて方もおられます。
大抵、これで納得されるんですけれど、ジタバタした方々もおられまして、「お金は確かにない!でも、それを無理にでも通すのがプロやんかっ!」と言い切る方々もおられるんですよ。理解に苦しみますが。
※はっきり言っておくと、こういうことを言うのは、殆どが女性である。100パーセント(ダンナが女房の操り人形というパターンも含む)と言って良い。
こんな事を言われたら、もう引導渡します。
「ワタクシたちは、職業倫理上、裁判所に絶対ウソはつきません。だから、個人再生の要件に当てはまらないようなものは誤魔化しして通しませんし、通りませんし、第一すぐに破綻します。アナタの状態は、単なる破産状態です。」
このような場合には、仕事を失っている(もしくは給料が足りない)なんていうものが大半で、殆どの方が「アルバイトします!」なんて事を言いますけれど、何ヶ月待っても、見つかった例がありません。
先日、一件だけ、ちゃんとした仕事を見つけてきて働き始めた例があります。
半年間みて、大丈夫そうだったら申請する予定です。
で。
話はここで終わりません。
個人再生の再生計画認可決定が下りたとしても、ここからが本番です。
計画を滞りなく実行できるか?は別問題
だからです。
ワタクシが見ていると、計画の実行開始から半年程度が、一つの区切りですね。
もうここまでで破綻する人が、相当な割合で存在するという事が分かってきたからです。
これは、申し立て時には、決してギリギリではなかった場合でも起こっているんですよ?
この事だけは、肝に銘じて欲しいところなんです。
…ふ~。
何だかキツイ書き方で書いてばかりいますよね~。
でも、検索などでどこかの誰かがお読みになったら、読んで頂きたい事を書いておきました。
…出すのも大変な申請書を書き上げ、それでもダメになったら、ワタクシも浮かばれません(大涙)。
by uneyama_shachyuu | 2009-10-03 23:00 | 司法書士編。