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従業員と独立者。

今日は、ワタクシの武道の師匠をお訪ね致しました。
今まで連絡もしていなかったので、何とも失礼なことだったから、進路が決まったことや、今まで色々とあったことなど、かいつまんで説明しようと思いました。

いや~!
大変喜んで下さいました!

後輩で一緒に司法試験をしていたヤツは、去年だったかに合格した、と聞きました。

う~む。
試験に合格したのは、やはりとても羨ましいが、その後の人生を考えると…

やっぱ、もうええわ(笑)。

十分多能させて頂きました、と本当に思う。
忸怩たる気持ちは拭えないが、それよりも気になるところが、もっとあるのだ。

それは。
仕事の適性。

前にも書いたけれど、弁護士という職業は、決して楽ではない。

色々な面があるけれど、まず一つ目に、弁護士特有の性質として、はっきり言って、多かれ少なかれ、人格がどこか破壊されるというところ。

依頼者の為なら、とんでもない鉄面皮を被れる、とは、先日書いた言葉だが、本当にそうなんですよ。

相手の生活や人格をどれだけ破壊しても平気っちゅう性格になる。

でも、これは、やはり自分の性格には合わない。
相手を憎むだけ憎む、という行為は、経験から言わせて貰えば、結局自分の内部から破壊してしまうことになるんですよね。

実際、こういうところから、毎年毎年変なことをしてとっ捕まる弁護士が、後を絶たない。
知り合いではないが、ワタクシと同い年の弁護士で、隣町で、女子高生の前でズボンとパンツを脱いで見せびらかした弁護士がいた。

…弁護士の生活に、疲れていたそうです。
彼には合わなかったんでしょう。

勿論、事務所も所属弁護士会もクビ(汗)。


まだあるぞ。

これは、別に弁護士だけの問題ではないが。
独立企業、それも、事実上個人企業だということ。

今回、ワタクシが企業に勤めるに当たり、二人の役員さんに質問をされたことがある。
「事務所を開かないの?」と。

開くつもりは、全くありません。
その理由を語ると、かなり感心していらした。

つまりね。
士業は、誰かから『仕事』を貰わないとダメという点なんですよね。

一般の商売は、自分で価値提案を行い、市場を開拓するということが可能です。これは、どんな仕事でもある程度は当て嵌まる。弁護士も、ある程度はそう。

しかし、弁護士は、価値提案となると、かなり限定されてしまう。
何故なら、彼らはスペシャリスト、言い換えれば『法律の職人』だからです。
法律という限定からは、決して逃れられない。

確かに、企業経営で、自分が得たノウハウから、その建て直しまでコンサルティングするなどを仕事としてしている人もいます。今流行りのコンプライアンス教育(※通常、『法令遵守』教育と言い換える場合が多い)なんてのも、価値提案としては古いけれど今でも魅力ある仕事です。

ですが、これは渉外弁護士としてのキャリアがかなりあるなどの、相当特殊な経歴がないとダメな場合が殆ど。そうでなくても、法人営業が強い事務所にいないとムリです。

顧問先との付き合い方をしっかり学ばないと、これは能力として身につかない。

それ以外の弁護士は、99%旧態依然の弁護士ばかりです。

とすれば。
彼らの殆どは、何かしらの『事件』が起きて初めて『仕事』になるという宿命を背負っているのです。

これは、司法書士も同じ。
登記が主な業務だけれど、そもそも登記内容となる『事柄』が起きることによって初めて仕事として依頼を受ける、という点で、全く同じ事業構造になっている。

…何も起きなければ仕事が完全に無い、という状態に置かれるのです。

これね、結構苦しいのです。
大阪などは、本当に法律不況とも言えるほど、業界が冷え込んでいる。
とすれば、仕事も、昔なら弁護士が見向きもしなかった仕事を奪い合う、なんてことも往々にして見受けられる、簡易裁判所の事件まで引き受けるやつが出てくるなんて、正直信じられなかったもん。

それでいて。
それだけの頭を持ちながら、事務所の経営をシビアに行えるのは、せいぜい10人に1人程度。

思ったよりも、後はどんぶり勘定と言っても言い過ぎではない。


とにかく、弁護士も司法書士も『事件』を自分で作るなどということは不可能なのです。

ですから、仕事として独立して上手く行くには、相当機転が利くというところが無いと、ほぼ不可能。細々とやっていくのがせいぜいなのです。


今の学生さんで、司法試験合格は、ハイリスク・ローリターンになることを念頭に置ける人は、おそらく皆無。

ワタクシには、こういう2点で、疲れ果ててしまうことは容易に想像できる。
何故なら、今までこの2点で数年も振り回されてきたから


…というようなことを面接では話したんですよ。
そうしたら、大きく頷いて、二度とこの質問をしなかった。
さすが、シビアな経営陣は、違うね。



だからこそです。
ワタクシたち独立営業者の、もう一つの願いは、ズバリ!サラリーマンになることだったりする(笑)。

決まった時期に、決まったお給料を頂ける。
どれだけありがたいことか!!を身に染みてよく分かっているのです(笑)。

ワタクシのがファンの元・作家、江上冴子さんのブログ、共感したなあ(笑)。
彼女も、30歳からの転職組です。
独立していた作家から「憧れのサラリーマン」になった気持ち、本当に共感できたなあ。

江上冴子のつれづれ日記: May 2005「幸せの基礎レベルが低い」参照。

今は、早く仕事をバリバリ出来る環境になりたいです。

by uneyama_shachyuu | 2005-07-15 22:34 | 我が逃走(笑)