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裁判官だって人間です。

最近までかかっていた、共有物分割請求訴訟(本人訴訟)が、依頼人の全面勝訴で終わりました。

最初から全面的価格賠償による分割を裁判所に求めて訴えたら、書記官から、

「この訴訟、何ですか?」

…などと問い合わせがあった、曰くつき(笑)。

簡単に言えば、書記官さんたちも見たことがなかった訴訟だった訳です。

…しかし、最高裁判決もある有名な論点なんですけどね(汗)。


この時は、書記官を通じて、裁判官から、「具体的なな請求はどんなもの??」という釈明が第一回期日前からあったのです。

そこで、「持分相当額の支払の引換給付判決で移転登記を認めて下さい」と言っておいた。

※通常は訴状訂正書で行うのだが、今回は準備書面で補充することでOKとなっていた。


こんなことをわざわざ言わなければならないということは、書記官はもちろん、裁判官も登記手続きが全く分かっていない証拠なのだが;;




なのに。
いざ判決が出てみると、ただ単に単独所有権を認めただけの判決(大汗)。




これでは、控訴しなければ、確定してしまうともう一度移転登記請求訴訟を起こさないといけない。

何しろ所有権しか確認していないので、登記請求を認めた判決ではないと判断され、これをもとに移転登記は不可能になってしまうからです。


これを裁判所に指摘して、更正決定を下さいというと…








わずか10分で更正決定を出すことが決まったとの連絡が。







裁判官だって人間だもんな。

登記に使えない判決(それも、最初から訴えの趣旨に求める判決内容として記載されているから控訴理由になる)を書いてしまったら…





※ところで、こういうことは訴訟ではたまに起きる。うちの中でキョーレツだったのは、共有者の一部が起こした訴訟(実体法では共有者全員に効力がある筈の訴訟)での勝訴判決が最高裁で確定したのに、法務局で跳ねられたということがあった。何しろ、最高裁の調査官までもが法務局で鼻であしらわれたほどだった。結局、他の共有者も訴訟を起こし、結局、最高裁までまたまた裁判をやる羽目になった(汗)。このように、裁判官が考える判決が、そのまま登記で使えるかと言えば大間違いなケースもあるということ。念入りに請求内容を決めておかなければならないのだわ。






とにかく。
面白い訴訟でしたよ。

by uneyama_shachyuu | 2011-09-29 20:09 | 司法書士編。