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こんな小さな事務所でも…

前回は、役者さんの話をしましたが…
次回に回すとして(笑)。

さて。
ワタクシたちの事務所は、大阪市にある小さなものですが、このような小さな事務所でも、法律業界にある以上、世界経済とは無縁ではいられないようです。

というのは。
この度、初めて中国企業の日本進出という場面に遭遇しました。

簡単に言えば、中国企業の日本現地法人設立を依頼されたのです(それも二社)。

先輩司法書士の方に訊くと、その中国企業の会計事務を請け負った、うちの事務所の取引先からの情報として、「どうやら日本に工場を『建てる』つもりらしい」との事でした。

ですが…
即座に「その理由はおかしい」と思いました。

何故なら、中国と日本とでは、立国事情が違うからです。

中国は、今、労働力提供型の立国から企業立国へと脱皮しようとしている国だと思いますが、まだまだ労働力市場は、低廉だと思います。

他方、日本は、既に労働力提供型の国家から脱皮して久しく、それでいて技術立国としては末期的。

とはいうものの。

中国企業が日本で工場を建てたとして、今、世界的に何のメリットがあるのでしょうか?
人件費は高い。おまけに、日本側に指導する技術も殆ど無いに等しい←と思う。

少なくとも、中国企業が独力で工場を建設し、技術陣を引っ張ってくるというのには、大変な労力がかかりすぎるというのは間違い無いでしょう。

ですから。
ワタクシは、その話を聞いて、すぐに結論付けました。

「M&Aやりやがったな。」

そう。ご存知の通り。
M&A。

”Mergers and Acquisitions”の略で、つまりは企業合併・買収の事です。



今、M&A市場は、稀に見る活況を呈していると聞きました。
その世界で生きている弁護士達は、本当に忙しいらしい。

但し、それは大企業だけの話ではないのです。


ちなみに、企業法務に携わると、複雑化する為にどうしても事務所に偏りがあるのと、難しさに比例して儲けが違ってきます。

M&Aや企業関係専門ですと、相当の高収入だと聞いています。

今、きっとその関係の弁護士さん達はウハウハかもしれませんね(笑)←10年前でもウハウハしている弁護士さん達だったけど(汗)。



さて。
そのM&Aですが、一昔前とは全然違う状況だという噂ですね。

今までのM&Aというと、あのとっちゃん坊や・村上氏に代表されるように、大きな仕手戦のような敵対的買収(に見せかけた株の売り抜け工作)というイメージではないでしょうか?

この場合、どちらか一方の圧倒的勝利、他方の惨めな敗北という極端なイメージも付きまとっていると思います。

ですが、現在のM&A市場は、そうではないのです。

つまり、後継者が居ないのに、会社には技術が一杯詰まっている中小企業というのが、世の中には沢山あるのです。

こうした企業は、後継者は居ないのに従業員は守りたいから辞められないし、他方から見れば自分たちには無い技術が他社にはあって、このままでは失われる…という状況を打破する為に、M&Aという手段によって、全員が勝利者(Win&Winの関係)になるようにする、実に建設的かつ友好的な企業合併を成し遂げているのです。

逆に言えば。
設備も人材も整えられた「企業」が、売りに出されている状況なんです。

これは、欲しい企業にとっては見逃せません。

後継者が無い方も、ハッピーリタイアメントになると言う訳です。

まだ事情は分かりませんが、少なくともこれが絡んでいる事は間違い無いと思います。



今回の中国企業の場合、とても有能な通訳もいます。
会計事務を請け負う取引先の方々も、一昔前に比べたら、言葉や知識などにおいて、困るという度合いは少なくなっているようです。

※これは、読んだらその国の人は不愉快がるかもしれないが、事実なので敢えて言わせて頂くが、一昔前の韓国や中国企業と言ったら、はっきりいって酷いものだった。少なくとも二十年前などは、まともに約束を守って貰えなかった企業ばかりだった。正直、相手にしたくない手合いが多すぎたのだ。しかし、それは日本ばかりがそう感じているのではなかったようで(当たり前(汗))、他の国々とも軋轢が絶えなかったようだと聞いている。現在でもそのイメージを持っている人も多い。そうでは無くなっているようでもあるが…ちなみに、日本では、会社の登記や、特に不動産登記で、韓国籍の方の登記をすることがある。その時になって初めて、日本における彼らの複雑な立場が垣間見えることを知った。


ワタクシたちの事務所では、大阪に本社を置いている(過去置いていた企業も含めて)大企業の企業法務を務めさせて頂き、その海外進出をもサポートして参りました。

最初は小さな企業だったものが、今では日本では知らない者はいないという大企業に発展している会社もかなりあります。

その企業の縁で、中国や台湾への進出も、お手助けをさせて頂きました。

また、その縁で、逆に海外、特にヨーロッパからの企業の進出も支援して参りました。


ですが。
中国企業の日本進出そのものを支援させて頂くのは、今回が初めてです。

街の実務家という司法書士のあり方からは、ちょっと縁遠い話なのですが、これも大阪と言う街で仕事をしているからでしょう。

こんな小さな事務所でも、世界のダイナミックな流れというものに影響されないではいられないご時世のようです。


そうです。
そして、こうやって日本の技術が流出していくのを座視することになってしまうんですね。

by uneyama_shachyuu | 2007-01-12 19:13 | 司法書士編。