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もう忘れていたが。

ええと、聞いたことがあったけれど、何て言う法則だったかなあ。

ふと、「あの事は、どうなったんだろう?」とか、「あの人、今頃どうしているかなあ」とか、と思い出すと、それに関連している事が起きる、というのは。

ふと、一年前のことを思い出していた時。
父親が、ある新聞を差し出して見せてくれた。

もう忘れていたが。_d0039219_23455664.jpg



消されている可能性があるので、ここで引用する。

呉服販売 「A」を詐欺容疑で本格捜査へ 大阪府警
6月12日16時57分配信 毎日新聞

支払い能力を超えたクレジット契約で次々に着物を売りつける販売方法で、顧客から詐欺容疑などで告訴された呉服販売大手「A」(本店・大阪市中央区、破産手続き中)に対し、大阪府警捜査2課は11日、同社の破産管財人から販売業務に関する資料の引き渡しを受けて、本格捜査に乗り出した。「人間国宝の作品で将来値上がりする」などと虚偽のセールストークで販売したとして告訴されており、府警は今後、任意提出された段ボール約800箱に及ぶ大量の資料を精査し、実態解明する方針だ。
 昨年8月、大阪や奈良の主婦ら5人が00~05年に、約390万~約90万円分の着物をだまされて買わされたとして、同社経営陣や従業員を府警に詐欺容疑などで告訴した。告訴状によると、著名な工芸作家の作品だと説明され、「人間国宝の作品なので財産になる」「本当は600万円ぐらいだが170万円にする。将来値上がりする」などと強く勧められた。実際には、この作家は人間国宝ではないうえ、着物も作家自身の作品ではなく、作家が設立した着物や帯などを製作販売する工房で製作。告訴人らは「購入価格に見合う価値はない」と主張している。
 府警は、人間国宝の作品と偽った贋物(がんぶつ)販売が、社の方針として組織的に行われたとみて、同社の販売マニュアルや指示経路などを詳しく調べる。
 同社を巡っては、「見るだけでいい」と誘われた展示会で、従業員に取り囲まれて着物を買うよう何時間も説得されたり、支払い能力を超えたクレジット契約を結ばされたという訴えが続出している。
 昨年3月、同社は関連会社7社を含め計約148億円の負債を抱えて大阪地裁に自己破産を申請。直後、社長(当時63歳)が京都府内のホテルで自殺した。破産管財人が不動産売却などを進めているが、債権者への十分な配当は困難とみられる。


…やれやれ。
あの告訴が、今頃になって捜査の対象にされたのか。

丁度一年前、この告訴の事実を聞いて、幾つかの問い合わせを受けた。

丁寧に説明させて貰った人と、「さあね」の一言で切ってしまったヤツもいるが(笑)。

…そういうヤツに限って、詐欺的な発言(簡単に言えば、口からデマカセ)がポンポンと出ていたのは知っているので、もしかすると…かもね(大笑)。




では、当時の事を見ていたワタクシからは、一体どのように思えるのか?

一度、書いておこうか。


ます、詐欺罪の構成要件だが、「ウソ」と知っていて「本当」と欺く意図(詐欺の故意)をもって、相手方を錯誤に陥れる行為(本当と勘違いさせること。詐欺行為。古くは『欺罔行為(ぎもうこうい)』とも言っていた)を行い、相手が錯誤に陥って相手方の意思に基づく財物の処分行為をさせること(簡単に言えば、金を出させる事)である。

この詐欺行為だが、「ウソ」「本当」と書いてあるのは、ちょっとビミョーで、一部「本当」であっても、詐欺は成立する。昔あった犯罪だが、とある健康器具の電化製品を「特殊な効果がある」とウソを言い、市価とほぼ同額で売り付けたという事例でも、詐欺は成立していた。おかしいと感じるかもしれない。しかし、買った相手は、その『特殊な効能』を言われなければ、実際買わなかったであろうという事例であったから、これは立派に詐欺行為。喩え市価とほぼ同額であっても、「損をしていない」という言い訳は通じない。騙されなければ買わなかったのであるから、出した金の分は損害なのである。よって、金を出させた時点で詐欺成立なのである。

つまり、「詐欺行為」とは、一般人だったら思わずお金を払いそうな勘違いに陥れる行為という事になる。出した金の多寡は、この際、成立自体には問題ない。


では、新聞記事を考えてみる。

数百人いた、という現場の営業については、おそらく詐欺の立件は、殆ど不可能と言って差しつかえない。

何故なら、商品勉強では、主なものについて「如何に良いものか?」を問屋・商社が説明していたからと言うことがある。

これは、数百人に対して行われていたので、「偽物」「贋物」という故意が、そもそも発生していない。

ということは、A社においては、厳格に考えれば、原則として、詐欺の間接正犯の成立を考えれば良い、という事になるだろう。

よく言われるのは、医者が患者を殺そうとして看護士に「薬」と言って毒を渡し、殺してしまうという事例が挙げられる犯罪の形式である。

この場合、伝統的な「道具理論」、つまり、この場合で言えば看護士は、ナイフやその他の「道具」と全く同じで、なおかつ看護士本人には故意もないので、殺人の犯罪には何ら問われないことになる。


今回、販売において問題になっているのは、I竹工房というところだが、さてさて?これが「贋物」と感じていた社員は、どれだけいただろうか?

I竹工房と言えば、故・I竹氏が作った工房で、失われた技術・絞り染めをI竹氏が復活させたものをそのまま引き継いでいる。

だから、ここで作られたものをちゃんと「I竹工房製」と売っていれば、何ら問題は無い。

ところが、あの時、ワタクシたちが聞いていたのは、「I竹先生製作の蔵出し」うんぬんと言っていたように覚えている。つまり、工房に残されているI竹先生製作の着物を出してきました、というようなセールスだったように思う。

…中々難しいのだが、ワタクシたちとしては、I竹工房も来ていたので、あれだけの工房がそんな贋物まがいのものを出しているとは考えられなかった、というか、全くそんなことも考えないでいいような展示物の数々があった。

非売品の、ホンモノのI竹製作の作品の数々。
そりゃあすんばらしいものだった。

また、その販売ブースで出てくる商品は、確かに、普通の着物には見えない商品の数々で、素人のワタクシたちには、到底そんな事情は考えられなかったのである。

多分、そんな事情を知って、販売マニュアルを課長にまで浸透させていたのは、商品部の連中と、取締役たちだけ、と言って良いかもしれないと考えている。

※偽物とか贋物と思って、現場は売れるはずも無い。誇りを持って勧めさせるには、まず味方から騙す以外に方法はないのである。

つまり、「値上がりする」などと言って販売した点で、別の詐欺的行為と疑われる連中はともかく(※宝石も着物も、確実に『値上がりする』ものは、殆ど無い)、それ以外の販売に携わっていた人たちには、詐欺の(共謀)共同正犯は勿論のこと、詐欺の他の共犯形式(幇助犯・教唆犯)なども、考える余地は、殆ど無いと考えるべきと考える。

おそらく、全社員を集めてきて、事情聴取をしたところで、真剣に答えたものを集めてみれば、ほぼ同じ回答になっている筈で、相当警察・検察がバカでない限り、「皆で口裏を合わせた」などとは考えないだろう(笑)。


この事に考え付いたとき、真っ先に思いついたのが、社長の飛び降り自殺である。元上司の課長に聞くと、「ラオウのような人物だった」と一言だった(笑)。正に「巨星、墜つ」であったように思えただろう。

当時、ワタクシには、破綻程度で自殺など…と思えてならなかった。死ぬ必要もないだろう、と。

確かに、あの会社は、社長の実のお母さん(会長)が、戦後の大変な時期に興した店が始まりで、その後、まだご存命であられた頃は、接した社員達が皆尊敬していたような人だったのは、本当の事らしい。そのお母さんが作った会社を泥まみれにした上で潰してしまった、というのは、耐えられないことだったのだな、と当時は思ったところもあった。

しかし、そのようなお母さんが、会社を潰したと言って、息子を怒るだろうか?ワタクシにはそうは思えない。反省を求め、しっかりと対応しなさい、と叱ったと思う。

漠然と、その違和感が付きまとい、ワタクシの中に沈殿していた。

もしかすると、違法行為がかなりあり(※経営をやっていれば、奇麗事では済まないことは沢山ある)、そういうものが世の表に出ることで、尚更お母さんの会社に泥を塗ることに、どうしても耐えられなかったのかもしれない。


どちらにせよ、真相が明らかになるかどうかは、今のところ不明と言える。

今回の事は、ワタクシとしては、何も分からんまま終わってしまったことで、責任も感じはするが、またまたワタクシの感覚で、「研究対象」になってしまっている(汗)。

…どこまでもクールなのかもしれない。

by uneyama_shachyuu | 2007-06-14 22:52 | 時事