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場合によったら恥かくで~(汗)。※追伸

さて。
このようなニュースが、今世間を賑わせていますね。

奇抜な家イヤ…楳図かずおさん宅の近隣住民、建築禁止の仮処分申し立て
 「漂流教室」や「まことちゃん」などの作品で知られる漫画家の楳図かずおさん(70)=本名・楳図一雄=が東京・吉祥寺に建築中の住宅をめぐり、近隣住民が「周囲の景観を無視した奇っ怪な建造物だ」として、楳図さんと施工を請け負った住友林業に対し、建築工事差し止めの仮処分を東京地裁に申し立てていたことが1日、分かった。

 申立書などによると、楳図さんが建築している住宅は2階建て。壁面を約60センチ幅の赤と白の横じまで塗装し、屋上には巨大な「まことちゃん」の像が設置されるという。周囲は閑静な住宅街で、申し立てた住民側は「住宅は周囲の景観とまったくそぐわないばかりか、景観を破壊する」と主張している。

 一方、住友林業は「外壁を赤白のストライブにする計画はあるが、屋根には窓のついた煙突のような円柱を設置するだけで、キャラクターを載せる計画はない」としている。

 楳図かずおさんの話「差し止めの仮処分を申し立てられている状況なのでコメントはできない」

(2007/08/01 18:45 産経新聞)




…ふ~。

やれやれ、です(笑)。
ちょっとびっくりなのが、「楳図かずおさん(70)」という下り!

そういえば、楳図さんは、同人誌出身だから、経歴は長いんだろうなあ。


さて。
今回の事件は、一体どのように考えれば良いのでしょうか?


テレビを見ていると、問題の町内の親玉のオバハンが、かな~~~~~り済まし顔で、物知り顔で、

「色彩の暴力」

という理由付けで、今回の建築差し止めの仮処分を申し立てていました。


おそらく、彼女らは、景観を守る法的権利とやらを楯に、建築中止を求めて訴訟に踏み切るつもりなのでしょう。


しかし。
あのオバハン。

ワシ、好かん。

あの手の顔は、「自分の価値観だけが正しい」「世の中の皆さんも『当然』認めるものだ」と思い込んでいるタイプだから。

あの手の人物には、生理的な嫌悪感を拭えない。


という個人的感情とは別に。
今回の訴訟事件を聞いた時の、ワタクシの第一印象。

「何や。また依頼料欲しさに乱訴した弁護士がおるのか。」

でした。

というのも、あまりにもバカバカしいように思えたからです。

しかし、よく聞いてみると、中々面白そう。
原告代理人をテレビで見ましたが、なるほど、乱訴を興しそうなタイプには見えませんでした。

むしろ、話し合いの機会を「強制的に」持たせたい、という考え方のようです。

…しかし、話し合いに応じるようなひとかねぇ?(笑)


確かに、人権派という人からすれば、「楳図はけしからん!」という感想を持ちそうです。

しかし、それはどうだかねぇ…

好きな土地に好きな建物を建てる、というのも、立派に財産権(彼の場合には表現の自由と職業選択の事由も絡むか)の内容として保護されるべき権利だし。

問題は、このように感じる人との利益衡量なんでしょうね。

つまり、周りに迷惑をかけないという道徳心とやらの、個人の解釈の問題になってしまう。


さてさて。
では、訴訟自体は、どんなものなのだろうか。

実は、この手の話は、マンション建設による景観破壊では、ある程度判例があります。

でも、はっきりしていることは、少なくとも東京高裁では、住民に厳しい態度であるということです。


五年前、東京都国立市のマンション建設の東京地裁判決で、7階以上の撤去を認めるという判決が出たことがあります。

このときの裁判では、景観権というものを認定し、法的保護の対象と認めました。そして、当時景観を守り続けてきたことを重視し、この状況を無視した建築は不法行為に当たる」と認定した上で、「特定地域内の景観利益は法的保護に値し、マンション建設は耐えられる限度を超える権利侵害であり、金銭賠償では救済できない」として撤去を命じたのでした。

この裁判では、建築基準法が改正されたものの、施行前に建築許可を取っているので、建築基準法違反を問えず、また当該地域に対する景観保護条例の類も無く、違法性を明文の法令では問えないケースでした。

しかし、高裁は違いました。
まず、建設差し止めの仮処分を一切認めなかったのです。
「景観阻害は差し止めの根拠とはならず、日照被害は受忍限度内である」ということが理由だったそうです。

そして、この裁判の控訴審では、更に厳しい判断が待っていました。

「そもそも個々の国民や地域住民が私法上の個別具体的な権利・利益として、良好な景観を享受する地位を持つとはいえ」ず、「住民には景観の維持を求める具体的な利益(景観利益)はない」として、一審判決を取り消し、住民逆転敗訴の判決を下しました。

…まあ、景観権などというものを認めてしまうと、場合によっては一種の消極的立法にもなりかねず、人権として認めるにも、内容に乏しく、憲法とその解釈論で認められてきた人権カタログと同等のものか?と問われれば、さすがに鼻白まざるを得ない、というべきでしょうから、地域差も考えず、万能の具体的権利として認め、請求権と法的保護を受ける地位を認めることはできない、人権として認めうるとしても抽象的権利(※立法によって内容が確定し実現する権利)に過ぎない、どうしてもというのであれば、立法によって保護するのが適当だろう、と考えるのも、ある程度は無理からぬことと考えます。


さてさて。
楳図氏の家の場合、どうでしょうか?

建築基準法違反はありません。
また、景観保護条例なども、武蔵野市には無く、東京都条例の指定地区でもありません。

…赤白のストライプがいけないかどうか?は、おそらく「高さ」の問題に比べたら、個人的感覚によって大きく左右される問題であることから、「景観権」というあやふやな権利をもって個人の財産権の制限が認められるとは考えられないこと、また、「閑静な住宅街」と言っても、奈良や京都などとは違い、大したことはない新興住宅街であり、東京都の指定も受けられない地区で、先の判例のような、景観を守ってきたような特段の事情もないこと、更に、「先住の住民感情」などいうものであれば、尚更「受忍限度論」が出てきてしまい、損害の程度が小さく考えられること、などから、否定的な方向に向かうのではないかな?と、個人的には思います。

まして!
楳図氏は70歳!もう怖いもんなんかありません!(笑)

だから、近隣住民との関係を考えるということも、彼は歯牙にもかけない可能性が高いと一般的には考えます。

とすれば、弁護士に徹底抗戦をお願いすることも当然考えられ、この差し止めによる損害賠償を反訴で提起でもしたら、負けたらオバハンは支払わなくてはならなくなります。

…ワタクシだったら、長引かせるだけ長引かせて、相手の家を叩き売らせるね(ウットリ)。


とにかく。
相手を見て、喧嘩を売らないといけないなあ。
楳図さんが常識的な人物であるという非常識を祈ろう(大笑)。

追伸。
訴えたのは、住民のうち、わずか2人で、それ以外の人たちは、訴訟には冷ややかな態度らしい(汗)。

by uneyama_shachyuu | 2007-08-03 10:11 | 時事