苦労が多い「刑事事件」業界。
「魔が差した」女性検察事務官、ドラッグストアで万引
皆さん、こういうニュースを見たら、どう思うんでしょうか?
ちょっと前になるが。
名古屋高検の検察官が万引きをしたという事件がありました。
で、知り合いの弁護士に友人たちと訊いた。
「どう思うか?」と。
「君たちねぇ、どう思う?え??『司法試験に合格して、高検にまで登ったのに勿体無い!」とか思う?やっぱりそうなんや~。でもねえ…ワタシら弁護士からしてみるとねぇ…『ああ、苦しかったんやねぇ~』としみじみ同情を禁じえない。そう思ったねぇ。」
…え??どういうこと?!
つまり、ですね。彼の言いたい事はどういうことか?と申しますと。
法曹界三者(弁護士・検察官・裁判官)の中で、いっっっっっっちばん『人の話を全て聞く』人は、実は検察官だということなのですね。
裁判官は、あまり人の話を聞かない。
弁護士は、金にならない話は、なお一層聞かない人物が多い。
検察官だけは、話をよく聞くのです。
そういう仕事でありながら。
検察官と裁判官は、大っぴらに呑んだり騒いだりは決してしない人物たちなのだそうだ。
本当に、検察官は、ストレスが多いのは間違い無いそうである。
だから、弁護士さんたちは、言うのである。
「そりゃ~な~、あの仕事を真面目にやっとったら、真面目なヤツならストレス溜めまくって『万引き』の一つや二つやるヤツもおるで~。」と。
さて。その弁護士さん。
笑えるで(笑)。
「ワタシらに言ってくれたらなあ~。『新地』くらい、遊びに連れて行ったったのに~。」
…弁護士の「夜の実体」をわざわざ「自白」するとは、黙秘権を諭す弁護士らしからぬ発言であった(笑)。
実は実は。
ワタクシ。
暴行容疑であらぬ被害届を出されて「被疑者」として警察署で取り調べを受けたことがある。
いえ、ほんと。
ちゃんと刑事課まで出向いて取り調べを受けたのです。
…しかし、不謹慎ながら。
ワタクシ、初めての刑事訴訟法の実践の場だったので、取調調書を一つとるのも面白くて仕方ない(笑)。
あ~。
刑事訴訟法でも問題になる「自白法則」が何で存在するのか?というのも、よ~く分かった。
取調室って、ホンマに狭いのねぇ(汗)。
大体、畳では五畳半か六畳くらいではなかったかなあ。
思ったよりも天井が低いし、勿論窓には鉄格子。
あったあった!面通しのマジックミラー(笑)。
そんな中に事務机がで~んとあったりする。
あれでは、自白の強要を疑われても仕方ないほどの圧迫を伴う「密室」だわ。
事実、ワタクシのようなヤツですら、後ろからシャアに迫られてくるような「見えないプレッシャー」を部屋から受けたのも事実。
…二回目には慣れたが(笑)。
あ!!
やったでやったで~!!!!
『犯人』を交えた実況見分!
いや~!
『犯人』役(つまりは『ワシ』のこと)の刑事さんと、その他の登場人物役(※女性の刑事さんも含む)の刑事さんたちも、首から『役名』の大きな段ボール板をぶら下げて、『暴行現場』で写真を撮りまくったで~!
その後の取り調べでは、そのうち犯人役の若い刑事さんは、担当刑事さんと共にワタクシの取調調書作成の書記係りを隣でやっていたりもしました。
さて。
この事件のあらましは、説明がめんどくさいので省きますが(笑)、とにかく、最初から担当の刑事さん(※警部補さんでした)が、ワタクシをむしろ『被害者』として懇切丁寧に対応して下さったということだけ、言っておきましょう←いや、本当にどちらが被害者か分からない事件だったのです。
それどころか、刑事さんは、最初から親身で犯人扱いではなかったのだが、事件のあらましを詳しく調べていくうちに、『ワタクシ』をどうしても『悪人』とは捉えられないという感想を持つに至っていくのでした。
ワタクシ、その過程をつぶさに見ていたのです。
では、どうしてなのか?
それは。
正しく「刑事訴訟法の理念」の裏返しと言いうると思います。
即ち。
「実体的真実発見」
です。
つまり、どういうことか?と申しますと。
具体的に、いきなり結論のみを説明すると、かなり離れている感じはするが、こういうこと。
刑事さん、そして起訴する立場の検察官さんたちは、事件がどういう理由で起きたか?だけではなく、犯人の背景に至るまでを事件への繋がりとして極めて細かく調査するのがお仕事なのです。
これによって、事件の「真相」とは如何なるものであったのか?を根本的に明らかにすることが出来るという訳です。
ということは?
そうです。
彼らは、『犯人』の話をどこまでも詳しく聞くのです。
これは、何も実体的真実発見という手法のためだけではない。
『犯人』との信頼関係を築くというものでもある。
「犯人」が、一体どのような人物なのかということを知り、それによって事件がどのような経緯で起きたのか?を詳しく知ることが出来るようになる為でもあるでしょう。
正に犯人を対象とした人間観察ということもできるでしょうね。
だからこそ。
皆さんも覚えて頂けたら、後で機会(?!)があれば、面白いかもしれない。
つまり。
いきおい、「取調調書」というのは、丸で「出来の悪い作文」みたいなものになってしまうんですよね(笑)。
丸で話言葉でワタクシが話しているような文面で、しかも、普通の日本人やったらそんな話し方はせぇへんよ~というような文法だったりする(笑)。
で、ですね?
こんなつまらない事件でも、調書は一冊の本のようになる。
それが、送検されて書類送検(検察官送致)となるのです。
←ちなみに、当たり前だがワタクシの身柄を含めた送検は無いぞ!!だって逮捕されていないんだから!!逮捕は、それなりの要件が必要でございまして、ワタクシの場合には裁判所が逮捕令状を発行するだけの具体的理由が何も無いからです。証拠隠滅(告訴・告発者への脅迫行為なども含む)や逃亡の虞(おそれ)というヤツです。
で、地元の検察庁への出頭。
いや~!
刑事さんとは正反対の、ホンマにいや~~~~~~な検察官だった。
こいつは、いわゆる副検事。つまり、検察事務官が副検事試験を受けてなった検察官なので、噂通り(??)威張っていた!←普通の司法試験合格をした検察官では、こうした人物が出てくる率は少し下がる、と一般的な話として業界人に聞いたことがある。
…結論から言えば。
ワタクシ。
よせばいいのに、事あるごとに「いえ、『副』検事さん」というように、殊更『副』を強調して話をした(笑)。
勿論、『副』検事さんの眉は、ぐぅぅぃぃいい~っ!と曲がっていたのは言うまでもない(笑)。
つまりは、「何や?オマエ。所詮『事務官』あがりの『副』検事やろ?どーせ司法試験組の下でこき使われて、プライドを粉々に吹っ飛ばされたから腹いせに『副』検事職になったヤツやんけ。威張りなさんな(嘲笑)。」という態度が明らかになっていたでしょうね(笑)。
何故なら。
だってこの『副』検事、刑法と刑事訴訟法の条文知識において、このワタクシに全く敵わなかったから。
平たく言えば、条文の存在も知らないことすらあったのだ。
…それで、事件の取調前に調書さえ読まずに、態度だけは人一倍デカイ!
最低でしょ??
後で知り合いの弁護士さんに聞いたら、事件として扱うことすら異例の事件なのだそうだが、この検事の性格なら当然だったかもしれない。
だって…
田舎の『副』検事になったのだから、折角威張れるチャンスを生かしたいと思うのは当たり前でしょう??(笑)
かかる軽度の事件です。
バカにされたのが腹に据えかねたのか、ワタクシを停学にした時の高校の校長のように敵対的に怒りまくっていたが(※呆れた話だが、入学一月で、十日の停学になった経験がある。が、この時も校長を論破して激怒させ、停学が伸びたのだった。その後、この校長と教頭は、公務員教諭としては最低ランクの場所へ飛ばされて行った。ざまあみろ(笑))、何しろ起訴したら今度は『副』検事の能力を疑われるのですから、当然、
「起訴猶予」
となった(※正確には『筈』。何の知らせも来なかったが、ということは処分は『不起訴』か『起訴猶予』しかないから、暴行の事実が一応はあるので『起訴猶予』という結論になる)。
ちくしょう!!
あの取調べ当時は、そんな程度の扱いの事件だというのは分からなかったが、そうと知っていれば、もっと嫌味な法律論から議論して論破し、恥でもかかせてやればよかった!(怒)←ホンマ、それ程度の『副』検事だったのだ。
しかしまあ。
刑事さんは、ホンマに優しかったなあ。
第一、取調の期日を決めるのも、ワタクシの予定をつぶさに聞いて、あちらさんの予定と照らし合わせながら丁寧に決めるんですよ。
で、その時、「あ~、この日は『逮捕』しに行くのでダメなんですわ~。」とか話してくれたりする(笑)。
この時の被疑者の容疑は忘れたが、事情をある程度教えてくれたりして、それが結構ホンマもんの悪党なヤクザ屋さん的人物だった。
だからでしょう。
彼は、こう言っていた。
「今度逮捕に行くヤツもそうですけど、ワタシらがいつも扱っている事件なんて、ホンマに『悪い』ヤツらばっかりなんですわ。それからしたら、アナタのような『どっちが被害者か分からん』ような事件なんて、ホンマやりたくないんですよ。」
最初に言っていたように、彼は最初から『悪人』扱いをしなかったのは、こういう理由からなのでした。
取調からして、調書の内容一つですら同情的で、言葉を尽くしてワタクシに有利になる内容になるように作成してくれたんですわ。
第一、最初の取調の時、「あ、勉強していてくれてもいいですからね。」などと言ってくれたんですよね(笑)。
天下の「取調室」で勉強かよ~(笑)。
刑法とかやったりしたら、何だかシャレにならんやんけ(大笑)。
ちなみに。
この刑事さんとは、ひょんな事件で再会しました。
うちの近くの古い文化住宅…長屋で、変死体が発見されたのです。
喩え自然死でも、それが原因不明ならば、すぐに警察に連絡をし、司法解剖しなくてはなりません。
その「事件」の担当が、その刑事さんだったのです。
その刑事さんは、丸で鑑識さんのような帽子を被っていたので、最初、ワタクシはその人が誰だか分からなかったのです。
しかし。
何と!クルマに乗っていたワタクシに笑顔と共に彼の方から挨拶をしてくれたのでした(笑)。
で、事件の真相。
この「変死体」さんは、近所でゴミばかり拾ってきて、部屋の外も中もゴミだらけという非常に変わった人だったそうです。
で、姿を見ないな~とみんなが思っていた頃、異臭騒ぎになった。
確かに、それまでも臭かったそうだが、異臭がそれまでとは比べ物にならない程のものになったのだそうです。
臭いの正体は??
お分かりですね。
…そうです。
病死だったのです。
いや~。
死後二ヶ月の腐乱死体だったそうですからね~。
刑事さんも大変だ(汗)。
中学まで警察官志望だったなれの果ての感想でした(笑)。
by uneyama_shachyuu | 2005-06-05 14:50 | 小人閑居